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2017年06月30日

さな目がくぼ


「例の動物よ。獲物を探してるわ」
「気をつけろ!」ガリオンはみんなに向かって叫んだ。「例の動物があっちにいる!」かれは肩ごしに手を伸ばして、〈鉄拳〉の剣を抜きはなった 雪崩《なだれ》の跡がついた木立の向こう側から、そいつが出てきた。もじゃもじゃの毛皮が雪にぬれて固まっている。怪物は残忍そうに体を低くかまえてすり足でやってきた。醜い顔はどこか人間じみていて、よけいに気味が悪い。つきでた額の下に豚のような小んでいる。下あごがつきだし、巨大な二本の湾曲した黄色い牙が頬の上まで伸びていた。そいつは口をあけて咆哮し、広い胸をこぶしでたたいて直立した。身の丈は八フィートはありそうだった。
「信じられん!」ベルガラスが叫んだ。
「なにごとです?」サディが問いつめた。
「あれはエルドラクだ」ベルガラスは言った。「エルドラクたちはウルゴ国にしか棲息していないのだ」
「あなたの勘違いだ、ベルガラス」ザカーズが異議を唱えた。「あれは猿熊と呼ばれているものだ。この山中に何頭かいる」
「あいつの正確な種を論じあうのはまたの機会にしたらどうなんです?」シルクが言った。「目下の主たる問題は、戦うか逃げるかでしょう」
「この雪では走れないよ」ガリオンは陰気に言った。「戦うしかないだろうな」
「そう言うんじゃないかと思  


Posted by sugarful at 18:19Comments(0)